2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

人間関係

東京に三十年以上住んでいるが、ずっと賃貸暮らしのためか地縁というものはない。あるのは趣味の活動である道場を通じての交流のみだ。もちろん仕事での付き合いはあるが、それだけで十分だ。 しかし、趣味の活動の団体に1つでも所属しておくと、多種多様な…

さいづち頭

戦国時代の話に石田三成が登場すると、必ずと言っていいほど彼のことをさいづち頭だったと表現してある。 確かに才走った男だったろうなと軽く読み流していたが、サイヅチというのは才槌のことで、単純に三成の頭蓋の形態のことを同時代人がそう呼んでいたら…

武士と忍者

武士と忍者が戦ったらどちらが勝つか。武士は刀を振り回し、忍者はあらゆる道具を武器として使う。 武士は刀の届く範囲では強いかもしれないが、忍者が遠間や背後から飛び道具で攻撃してきたら、普通の武士はやはり防げないのではないだろうか。 宮本武蔵ク…

彦根城と佐和山

三十代のころは帰省の費用を安く上げるために、青春18キップを利用して、片道1泊2日、1日当たり12時間とか13時間とかを普通列車で乗り継いで東京と九州を往復していたことがある。 途中の1泊は5000円くらいの安いホテルに泊まったり、ひどい時は駅舎の片隅に…

関東と九州

九州の学校を出て、さてどこで就職しようかと考えるとき、地元を選ぶ人も少なくないが、東京や大阪に出るケースも多い。自分の同期の例でみると、5対1くらいで東京に来る割合が多いと感じた。 自分もまた東京に出てきた一人だが、関西というのはどうも言葉や…

アメリカ人

本部の道場にはいろんな国から人が来ていて、アメリカ人も何人かいる。一番よく見かける三十代の男は、アメリカ人の平均よりもやや大きめだと思うが、身長は183~185センチくらいで、体重は110~120キロくらいはある。ほとんどプロレスラー並みの体格だ。 こ…

土手に立つ小屋

川沿いの土手の上に一軒、小さな民家とも作業小屋とも見分けがつかないような建物が立っているのを散歩中に見つけた。土手下には、低い民家の建物が立ち並んでいるような一帯だった。その家からは、川の流れる風景も、土手下のこちら側の街並みもよく見える…

密教

実家が浄土真宗であり、通った幼稚園も浄土真宗の境内の中にあったから、収宗教といえば浄土真宗が自然と身についている。浄土真宗の他力本願的な思想は、天地に従順であり、一切を南無阿弥陀仏の名号の中に委ねる。 これに対して密教というのは、何やら念の…

苦しみを乗り越える

事務仕事のデスクワークからこの仕事に飛び込んできた新人の一人が、先週半ばに、仕事中にぎっくり腰に見舞われて動けなくなった。植木屋の仕事を始めて3カ月が過ぎたころだから、腰に疲労がたまっていたのだろう。 先月くらいから、自分にはこの仕事を続け…

大化の改新

大化の改新というと、中大兄皇子と中臣鎌足が、悪人の蘇我入鹿を殺して、ついでに入鹿の父親の蘇我蝦夷も自殺に追い込んで、なにやら新しい時代を開いたような印象だが、要するにただのクーデターだな。 蘇我氏が滅んだことで、日本は、豪族の時代から天皇を…

英語教育の無駄

今は小学校でも授業で英会話をやるんだよな。それは大変結構なことに思えるが、中身をよく見てみれば、英語を使ってゲームをしたり、歌を歌ったりと、幼稚園レベルのことをわざわざ英語を使ってやっているわけだ。小学校の高学年の子どもを相手にだよ。 こん…

適度な仕事と余暇

「気楽に働き、適度な収入を得て、余暇を楽しむ。これが最高の人生だ」と以前の職場の上司が言う。それが実現できれば、その通りだろう。本人も引退したから言うのだろう。現役のころは本社との板挟みで毎日やけ酒を飲んでいた。 まず気楽に働くということ自…

めんどうな管理人

植木の仕事で、とある高級住宅地のマンションに行った。そこは面倒な管理人がいて、スケジュールが入るだけでも憂鬱な気分になる。現場につくとやはりそいつがいた。 年のころは60を超えたくらいか。やくざ映画に出てきそうな濃い顔をしている。特徴的なのは…

スズメバチと体質

植木職人の天敵にスズメバチがいる。これから夏になってくると、スズメバチをはじめとする毒虫による被害が深刻になる。刺されると、患部から周辺部一帯がはれ上がって、一週間ほどは痛痒さで夜も寝られなくなる。 しかし、この仕事を何十年もやっている親方…

出雲の国

新幹線で兵庫、岡山、広島と下っていくと、右手になだらかな中国山地が連なっているのが見える。中国山地の手前側が山陽で、向こう側が山陰だ。山陰側には鳥取と島根がある。この2つの県だけはまだ行ったことがない。 行ったことがないだけにイメージだけが…

前方後円墳

前方後円墳というのはな、あれは盾を伏せた形なんだよ。四角い方が前だとか、丸いのが後ろだとか言っているが、どうでもいいことだ。形にばかりこだわっているから、あんたは頭が固いんだ。 よく見ろよ。人型をしているだろう。あれは盾なんだ。だから、盾を…

植物の謎

植木屋を手伝うようになってようやく気付いたことだが、植物というのは実に謎に満ちている。わずか数ミリから1センチに満たないような種子が巨木にまで成長する不思議さ。その種類の多種多様さ。 植物が成長するには、太陽の光と水、それと土の中の成分がど…

根の国とは

古事記に出てくる根の国というのは、黄泉の国だという考え方がある一方で、現実的には朝鮮半島のことだという説がある。確かに、アジア大陸から日本に向かって、太い根っこが伸びてきているように見えなくもない。 神話では、姉の天照大神と「天岩戸事件」を…

ムクドリ

都会に住んでいて一番よく見かける鳥はハトで、次がカラス、それからスズメだ。鳥の種類のことをあまり知らない人でも、この3種だけはだいたい区別がつく。四番目はとなると、公園の池や川で泳いでいるカモだろうか。 ところが、先日仕事の現場で見つけた鳥…

古巣からの電話

花見に浮かれていると、突然忘れていた古巣からの電話が5年ぶりに入る。役所相手に仕事をしている中小企業のコンサル会社だ。久々にブラック企業の匂いを嗅いだ気がした。 何の用かと思えば、前年度の仕事で終わっていないのがあるから手伝ってほしいとのこ…

二代は続かないか

社長の息子は悪い人間ではない。例えば人に意地悪をしたり、強圧的であったりすることはない。ただ怠け者で、気分が散漫で、仕事もいい加減に済まそうとする。これまでは周りの職人たちがその分を補ってきたが、だんだんそういうわけにもいかなくなってきた…