苦しみを乗り越える

 事務仕事のデスクワークからこの仕事に飛び込んできた新人の一人が、先週半ばに、仕事中にぎっくり腰に見舞われて動けなくなった。植木屋の仕事を始めて3カ月が過ぎたころだから、腰に疲労がたまっていたのだろう。

 先月くらいから、自分にはこの仕事を続けるのは辛いかもしれないとたまに弱音を漏らしていたので、今回のぎっくり腰をきっかけに辞めるほうへと気持ちが傾くかもしれない。

 彼ももう50代の半ばだから、ほかに仕事を探すといっても、体を使うような仕事以外はなかなか厳しいだろう。アルバイトを探してもシニアの枠になる。日雇いでなければ、警備、介護、清掃といったところか。倉庫内の軽作業といった募集もよくあるが、あれは年配者にはかなりきつい。

 逆に言えば、体さえしっかりしていれば、肉体労働で月に20万円稼ぐくらいならば何とかなる。恐らくは、元の会社の給料の半分かそれ以下だろうが、そこは諦めて割り切るほかはない。

 彼に関しては、幸か不幸か独身だから、月20万あったら何とかやっていけるんじゃないだろうか。だが、問題は体だ。しっかり足腰を鍛えて、腰回りの筋肉を強くすること。それはこの仕事をしていれば自然と身につく。

 親方をはじめ、決して無理な作業をさせているわけでもないから、半年、1年かけて体質の強化が図れるかどうかだ。