根の国とは

 古事記に出てくる根の国というのは、黄泉の国だという考え方がある一方で、現実的には朝鮮半島のことだという説がある。確かに、アジア大陸から日本に向かって、太い根っこが伸びてきているように見えなくもない。

 神話では、姉の天照大神と「天岩戸事件」を引き起こして、高天原を追放された須佐之男命が出雲に降り立って、マタノオロチを退治し、と子孫をつくって、そこからさらに根の国に渡ったということになっている。

 須佐之男命と櫛名田姫の子孫の血筋が大国主命へとつながって、そこから日本が繫栄していくこととなる。大国主命は、御殿を築いて根の国を治めていた須佐之男命のところへ赴いて、地上を治めるように命じられた。

 その大国主命も、高天原天照大神から派遣された神々によって国譲りを強制されてしまい、残ったのは出雲御殿だけという何とも理不尽な結末を迎えることになるから面白い。

 高天原がどこだかわからないが、姉の天照大神の勢力が、執拗に弟の須佐之男命とその子孫の勢力を追い詰めようとしているのが、高天原の追放から出雲の国譲りまでの一貫した流れとなっているようだ。

 大国主命出雲大社に納まったとして、須佐之男命の行きついた根の国というのは、朝鮮半島だったと言えるのかもしれない。出雲と朝鮮半島をつなぐ海のルートというのも、昔はあったのではないのか。