古巣からの電話

 花見に浮かれていると、突然忘れていた古巣からの電話が5年ぶりに入る。役所相手に仕事をしている中小企業のコンサル会社だ。久々にブラック企業の匂いを嗅いだ気がした。

 何の用かと思えば、前年度の仕事で終わっていないのがあるから手伝ってほしいとのこと。たまたま現場仕事が忙しくない時期だから引き受けたが、あっという間に一週間が過ぎてしまった。

 この5年間、こちらは肉体労働で大変だったが、職場に残った者たちもかなり苦労したようだ。出るも地獄、残るも地獄。中小企業にワークライフバランスなどあったものじゃない。本当に、なんでこんなに生きづらい世の中になったのだろうかと思う。

 何とか一週間で片づけたが、できれば今後も手伝ってほしいと頼まれる。ここ数年で会社に書き手がほとんどいなくなってしまったらしい。

 さて判断が難しい話となった。大学生の息子を2人抱える身としては、収入が増えることは有難いが、昼も夜も無理して働いて、果たして体がもつかどうか。断るのは簡単だが、何とか手段がないだろうかと考える。

 親方に相談して、現場に参加する日数を減らしてほしいと頼むことは可能だろうか。そんなことなら、新人も2人入ったことだし、もう来なくてもいいよと言われそうな気もする。そうなると生活自体が成り立たなくなるだろう。さてどうするか。