ムクドリ

 都会に住んでいて一番よく見かける鳥はハトで、次がカラス、それからスズメだ。鳥の種類のことをあまり知らない人でも、この3種だけはだいたい区別がつく。四番目はとなると、公園の池や川で泳いでいるカモだろうか。

 ところが、先日仕事の現場で見つけた鳥の死骸は、これらとは全然違う鳥だった。別に珍鳥というほどでもなく、名前を聞けば日常の生活圏にいる鳥の一種で、見かける度合いもカモに次いで五番目ぐらいかもしれない。

 それなのに印象が薄く、フォルムとしても形態がイメージしにくい鳥だ。スズメよりもずっと大きくて、ハトよりはやや小型。色は褐色というのだろうか、地味な目立たない色だ。意外なことに嘴がオレンジ色をしていた。

 初めてまじまじと見たにもかかわらず、これがムクドリだということがすぐにわかった。あまり人には近づかず、いつも集団で飛び回っている印象だから、これがマンションの窓の下で、孤独に一羽だけで死んでいるのも意外だった。

 上の階の透明な窓ガラスにでも衝突して、気を失ったまま夜中に凍死でもしたのだろうか。見たところどこにも傷はなく、別にやせ細ってもいなかった。早朝だったから、まだカラスにも見つかっていなかったらしい。

 せっかくだから同僚の職人たちにも見せてやろうと思って持って行ったら、みんな気味悪がって、中には見た瞬間にのけぞった者もいた。植木屋というのはあまり生き物が好きではないらしい。仕方がないからマンションの庭の隅の方にそっと埋めてきた。