大化の改新

 大化の改新というと、中大兄皇子中臣鎌足が、悪人の蘇我入鹿を殺して、ついでに入鹿の父親の蘇我蝦夷も自殺に追い込んで、なにやら新しい時代を開いたような印象だが、要するにただのクーデターだな。

 蘇我氏が滅んだことで、日本は、豪族の時代から天皇を中心とした律令国家へと変わっていったと言っても、よく見れば、律令国家の路線じたいが、もともと蘇我氏が敷いていたものだから、彼らにしてみれば何のために殺されたのかよく分からないということになる。

 実際、日本で律令体制が確立したのは、大化の改新から何十年も後のことだからな。中大兄皇子というのが、理想の先走った青年将校みたいで、どうも胡散臭くて仕方がない。

 この人物は、のちに天智天皇となってからも、弟の大海人皇子を暗殺しようとしたり、最悪なことには朝鮮半島でむだな戦争を引き起こして、白村江で歴史に残るような大敗北を喫しているわけだから、本来なら十分に戦犯者だよ。

 これが蘇我氏だったら、律令制度の模範となった高句麗ともかかわりが深かったわけだし、国際感覚もしっかりしていて、わざわざ外国で負けるような戦争を仕掛けることもなかったんじゃないかと思うね。

 それから、中大兄皇子と組んだ中臣鎌足という得体のしれない男。結局はこの男の子孫に日本は乗っ取られたようなものだ。中臣氏改め藤原氏が、その後何百年と天皇を傀儡にして、蘇我氏以上に日本の政治を独裁することになったのは歴史が示している通りだからな。(八十八爺)