2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘルダーリン

また一つ忘れていた懐かしい名前が、読んでいた本の中から目に飛び込んできた。ドイツの詩人ヘルダーリン。 ゲーテやシラーほど有名でもないが、学生時代の指導教官の一人がこのヘルダーリンが大好きで、ことあるごとにヘルダーリンの詩を持ち出して話をして…

ハヤ・サンジ

最初に親方の口からハヤサンジという言葉を聞いたとき、何のことだか当然わからなかった。誰か人の名前なのか、造園業界の特別な用語なのか。その日はとても暑い日で、午後に入った時点からみんなもうへたばっていた。 造園業は庭仕事で、休憩時間に涼めるよ…

手に職への道

パソコンやスマホ一つで仕事ができるような時代となって、昔ながらの手に職といった感じの仕事はどこまで生き延びていくことができるのだろうかと思うことがある。 植木屋のような職人仕事も、以前とはだいぶ仕事の形態が変わってきたようだ。昔ながらのこつ…

鎌倉

鎌倉の現場だった。東京から鎌倉まで往復して、その間に肉体労働をするのはなかなかしんどい。せめて現場は23区内に限ってほしいものだが、親方の知り合いらしいから仕方がない。 司法書士の事務所から流れてきた54歳の新人は、小学校の修学旅行以来の鎌倉だ…

職人の休日

今日もまだ外仕事はきついなと思っていたら、都合よく雨で現場が中止になってくれた。現場があっても仕事のやりようはあるのだが、腰の回復にはあと2、3日かかる。現代のしかも東京という大都会の中で、雨で自然と仕事が休みになるというのは造園業くらい…

ある女性の決断と運命

彼女がまだ若くて自信にあふれていたころ、結婚生活よりも、自由で独立した生活にあこがれていた。しかし、一人ぼっちで老いぼれる日を思って、心の底ではいつも不安を抱えていた。 気がつけばあれから25年が過ぎていた。彼女はもはや若くもなく、自慢だった…

天才の墓

天才といえばモーツァルトの名前を聞かないことはない。思い出せば、大学の英語の授業で、最初に原文で読まされたのが「アマデウス」というタイトルで、それがモーツァルトのことだった。天才にしてはあまり品がなく、生活にも恵まれず、不幸な死に方をした…

猫の喧嘩と水

王子駅の北口を出て、左側に歩いていくと石畳があり、整備された親水公園がある。ちょっとした渓谷のようになっていて、アーチ型の橋があり、右側の斜面の石段をのぼっていくと、上は王子神社になっている。 親水公園沿いには居酒屋があって、若いころはよく…

波が引くように

激痛のため椅子に座っているのさえ苦しくて、つかまり立ちするのがやっとだった状態から、今夜半から波が引くように症状が軽くなってきた。金、土、日、月とちょうど四日目だ。このサイクルにほとんど間違いはない。今日は杖を突いて職場に行き、軽い仕事を…

三十回目

これでブログも30回目となる。最初はそんなに書くほどのこともあるのだろうかと思っていたが、いざ書き始めると、芋づる式に書き足りないことが出てくるようになった。 おそらく日常生活のいろんな場面で、いろんなことが気になっていたのだろう。自分が感じ…

繰り返す腰痛のパターン

先週金曜日ごろから腰に異変を感じていたのだが、案の定、土曜日の昼間にぴきっときた。その音が、頭の中で響いたような気さえした。完全なぎっくり腰だ。何とか家にたどり着いて横になる。ぎっくり腰の癖は20代のころからだからこの症状には慣れている。 最…

繰り返す腰痛のパターン

先週金曜日ごろから腰に異変を感じていたのだが、案の定、土曜日の昼間にぴきっときた。その音が、頭の中で響いたような気さえした。完全なぎっくり腰だ。何とか家にたどり着いて横になる。ぎっくり腰の癖は20代のころからだからこの症状には慣れている。 最…

夢に見た131番の意味とは

どこか外国の寄宿舎の食堂のようなところで食事をしている夢を見た。かなり広い場所で、大勢の人がいる気配がする。食事を終えて立ち上がると、食堂の壁際のテーブルの上に、本日の作品というタイトルで冊子が並べてあるのが見えた。近づくと、そこに自分が…

宮沢賢治が見ていたもの

ブログをはじめてから、小さな手帳を愛用するようになった。思いついたことを忘れずメモするためだ。なるべく上着のポケットに入れて持ち歩くようにしている。 そこで思い出すのは、宮沢賢治がいつも小さな手帳を首からぶら下げて歩いていたという話だが、さ…

国土を守るクロオオアリ

冬はつらい現場仕事だが、毒虫にやられる心配がないことだけは有難い。最悪なのは、チャドクガにスズメバチ、そしてブヨだ。 こいつらにやられると、患部から周辺が大きく腫れあがり、強烈な痛みと痒みで一週間はもだえ苦しむことになる。この中で一番最悪な…

冬の日の作業の一日

暖冬かなと思えば、2月の後半あたりから急に寒くなってきた。気温が低いというよりは、風が強烈に冷たいのだ。夜が明けきる前の朝の時間、都電のホームに立っているときは身を切るような冷たさだ。とにかく早く電車が来てくれないかと思う。 そして現場につ…