冬の日の作業の一日

 暖冬かなと思えば、2月の後半あたりから急に寒くなってきた。気温が低いというよりは、風が強烈に冷たいのだ。夜が明けきる前の朝の時間、都電のホームに立っているときは身を切るような冷たさだ。とにかく早く電車が来てくれないかと思う。

 そして現場について、トラックを出てからが本番だ。かじかむ手で荷台から荷物を降ろさなければならない。次は除草作業のために草刈り機のエンジンをかけようとするが、こういう寒い日はなかなかエンジンがかかってくれない。そのうち紐を引っ張る手が痛くなってくる。

 除草が終わると樹木の剪定に入る。脚立に上るといやでも吹きさらしの状態になる。鋏を持つ手が冷たい。手よりも耳が冷たい。ヘルメットの下にヒット帽をかぶればよかったと悔やむ。

 そうやって夢中で作業をしているうちに、最初の休憩時間がくる。最初の作業時間は、8時もしくは8時半から10時まで、30分の休憩があって、次は10時半から12時まで。食事休憩が1時間。次の作業は13時から15時まで。この時間が一番長い。15時から30分の休憩。最後は15時半から17時まで。

 作業が終わるとトラックに荷物を積み込んで、事務所へと移動する。このとき車の運転を担当する者が一番きつい。事務所についたら荷物を降ろす。そこからさらに事務作業が待っている。

 現場が小さい時には、15時には作業を終了して事務所へと引き上げるが、それでも事務仕事を終えるころには、外はもう暗くなっている。事務所を出て、冷たい夜の道を最寄りの駅へと向かう。途中で缶コーヒーを買って、小さな公園のベンチで静かにくつろぐ。この瞬間が一番好きだ。