果たして大丈夫だろうか

 われらが植木屋も去年の年末以来、事務所の強制的な移転、古い職人たちの離脱といった激震に見舞われたが、この3月で新人2人が加入しようやく陣容もととのった。難点は親方の70代を筆頭に、残りはすべて50代という恐るべきロートルな集団となってしまったことだ。

 しかも全員が前科持ち、いや前職持ちという転職集団だ。親方は若いころに証券会社に勤めていたらしいが、自分には能力がないと早々に見切りをつけ、30代で植木屋稼業を始めたという。

 その息子が最年少の50歳。これも一時はどこかで努め人をやっていたらしいが、離脱した古い職人から聞いた話だと、どうやらそこをクビになって、ぶらぶらしていたところを親方に連れ戻されたらしい。

 新人2人のうち、年上の方は58歳でもと商社の営業部長、もう一人は54歳で司法書士の事務所でひたすら書類仕事に専念していた男だ。どちらも慣れない肉体労働で人生後半の生計を立てていかねばならない厳しい状況にある。

 それは自分が5年以上前に経験したことだから、彼らの気持ちもおかれた状況もよくわかる。二人とも前向きで、真面目な人柄なので何とか辞めないで続けてくれたらいいと思う。

 これから3カ月、そして半年続けば、体の方が慣れてきて、仕事の方も頭で戸惑っている段階から、体の方が自然と動くようになってくる。だがその間には、夏の猛烈な暑さを乗り越えなければならない。

 最近は特に、年々夏の暑さがひどくなって、朝に現場についた時点でもう眩暈がするほどだ。おまけに絶え間なく毒虫の攻撃にさらされる。なるべく新人に無理はさせないつもりだが、果たして大丈夫だろうか。