人生後半の仕事

 あの時は、勢いで仕事を辞めたものの、少ない貯金はたちまち目減りしていった。何とかしなければならない切羽詰まった状況となる。Aのブラック企業を辞めてBのブラックへと移ったところで大差はない。中途で入ってきたサラリーマンの悲哀は嫌というほど目にしている。

 ならばいっそと日雇い労働を扱っている派遣会社に登録して、日銭を稼ぐ生活を数カ月ほど続けた。だが、50歳近い人間がそうやって稼ぐのも月20万円が限度だ。それ以上は体がもたない。

 いや、年齢に関係なく肉体労働でお金を稼ぐのは月20万円くらいがせいぜいではないだろうか。年収で言うと240万円。実際はこのくらいの年収で生活している人の方が、世の中には多いのではないかという気がする。

 日雇い労働のリズムに体が慣れて、丸一日外仕事をしても平気になってきたころ、たまたま今の造園会社に縁ができて、専従で働くようになった。経済的にも前の会社に近いレベルにまで回復している。ただし、余程のことがなければ残業などはない。

 雨の日は自然、現場が中止になるから、晴耕雨読の生活と言っていい。そして明日は雨。中止になった仕事をどこかの土日で補うしかないのだが、週の途中でふいに休みが入ると体が休まる。

 自分がたまたまそうなったからかも知れないが、人生の前半と後半で仕事を切り替えるのも悪くはないようだ。そして、年を取ってからは体を動かす仕事の方がいい。いろんな前職の人が集まって来たりするから、思ったよりも刺激になる。