明日は雨らしい

 天気予報によれば明日は雨らしい。雨が確実なら仕事は休みとなる。親方はその方針で明日はほぼ間違いないだろう。天気予報にしたがって明日の仕事をどうするかという判断は、親方がいつも頭を悩ませているところで、ほかの職人たちは期待と不安の入りまじった顔で親方の決断を待つ。

 問題は外仕事ができないほどの雨なのかどうかということだ。こちらが多少の雨は我慢してやるつもりでも、現場の方が汚れるのを嫌って中止にしてくれという場合もある。当日、現場についてからやめてくれと言われても困るから、前もっての調整が必要だ。なるべくならこちらで無理なら無理と言って、次の候補日を相談した方がいい。

 ここ数年をふり返ってみると、親方が次の日の降水確率×長年の経験と勘をもとに「明日は、仕事は休みだ」と宣言した場合、たいした雨も降らずに嘘のように途中で晴れてくる日が多かった。つまりはずれが多い。だからうちの女房などは、親方の天気予報を完全に馬鹿にしている。

 われわれ職人の方はどうかと言えば、雨で中止になってもあまり嬉しくはない。もちろん、疲れがたまっているときは有難いと思う。しかし、平日の一日を仕事もなく過ごすというのはやはり空しいものだ。

 居酒屋やギャンブルで時間がつぶせる人はいい。仕事以外のことは、所詮は余技なのだ。せめて明日は思い切り雨が降ってくれるといい。