金魚はフナの仲間

 水槽に飼っている金魚の巨大化が止まらない。女房の友人が「金魚って入れ物の大きさまで成長するのよ」と言っていたらしいが、だんだんと本当のことらしく思えてきた。

 最初は小さな金魚鉢でも十分だったのが、30センチ水槽に変えて、今は45センチ水槽になった。ある程度運動できるようなスペースと、水の入れ替えのし易さも考えると、この辺が限界だ。

 もうこれ以上は大きくならないでほしいのだが、後から聞いた話だと、そもそも金魚鉢を小さいままにしておけば、金魚もストレスで大きくはならないものらしい。

 すると多少大きくなってもこの45センチ水槽で固定しておけば、金魚の方で大きくなる限界を調整してくれるということなのだろうか。一時は、次は60センチ水槽かと迷った時期もあったが、このままでいくことにした。

 大きくなった金魚を眺めていると、つくづくとフナに似ていることに思い当たる。女房にそれを言うと「そんなの常識じゃない」と返された。一応調べてみると、確かに金魚はフナが突然変異で赤くなったものらしい。

 やはりそういうこともあるのかと、今さらながらに感心してしまった。田舎にいたころは田んぼの脇の堀またはクリークで、フナや鯉、タイワンドジョウなどは幾らでも釣り上げていた。

 あの泥臭くて力強いフナのイメージと、赤くてひらひらした金魚のイメージとはどうしても合致しなかったが、こうして巨大化していく金魚魚を目の当たりにして漸く金魚がフナの仲間だと納得できた。

 あの当時存命だった祖母が、釣り上げてきたフナを醤油で煮込んで食べさせてくれたことがあったが、本当に泥臭くて、口に含んだ瞬間思わず吐きそうになったのを覚えている。

せっかく作ってもらったものだから、鼻で息をしないようにして何とか一匹ぐらいはと食べ進んだが、身の中にもやたらと小骨が多くて、とても常食にしたいとは思わなかった。

 だから少し大きくなりすぎて、観賞用というには微妙な金魚を眺めていても、こいつを食べようという気にだけは絶対になれない。丸々と発達した筋肉を誇示するように目の前を何度も行ったり来たりされても。