新人二人、ともに50代

 造園会社の事務所が23区の外れに移転し、それに伴ってベテランと若い新人の2人がやめたが、新たに募集をかけたところ何人かの応募があった。その中で見込みがあったのは、ともに50代の2人である。

 造園業の経験はないどころか、普通にサラリーマンをやって一人は事務職、一人は営業をやっていた人たちだ。もっと若い人の応募もあったのだが、社長である親方のお眼鏡に叶わなかったらしい。

 うちの親方はある程度社会経験があって、堅実な人間を選ぶ。経験上、若い人間はいくら仕込んでやっても、どうせ辞めていくか、独立していくと思っているらしい。本当に熟練の技が必要な時は、知り合いの植木屋から助っ人を頼めば十分に間に合うし、今どきそんな現場はほとんどない。

 しかし、改めて顔ぶれを見ると、親方に親方の息子に、自分に、新人が2人。親方は70代、残りの4人はみんな50代だ。平均年齢は60歳に近いだろう。これは偶々だろうか。それとも今の日本の現状を反映しているのだろうか。

 一応今のところは、小さいながらも企業としてやっているが、そのうちシルバー人材センターとほとんど変わらなくなるのではないかという気もしている。だが、年齢層が高いだけあって、無理な仕事の仕方はしない。

 無理をして現場の数を増やせば収益も上がるだろうが、そうなると体が続かないことは目に見えている。だからある意味、普通の会社仕事をやってきた人が、人生後半になって体を使う仕事を始めようとする場合などには、やりやすい環境ではないかと思う。

 しかし、朝は早いし、遅刻や無断欠勤は厳禁。夏冬の自然条件は厳しく、春から秋にかけてはブヨ、スズメバチ、毛虫、藪蚊といった毒虫の攻撃にさらされる。少々の雨でも仕事をしなければならない時がある。怪我や事故には常に注意をしていなければならない。楽な仕事はないということだ。