日本橋室町に感じること

 東京日本橋に「COREDO室町」というしゃれた場所ができていて、いい年をしたおじさんが散歩中にひとりで入り込むのは気が引けて、入り口部分を眺めただけですぐ退散した。

  なぜ「室町」なのかと思ったが、その辺いったいの、ほそながい区画が室町という地名なのだ。日本橋室町1丁目から3丁目まである。東京駅の目の前のオフィス街に何ともみやびな地名があったものだと感心した。

 この室町という地名は、江戸時代にはすでにあったらしい。日本橋といえば、今も昔も商業の中心だから、京都の商人らが移ってきて、江戸の中心に京都風な商人の街をつくろうとした名残かも知れない。

 でも確かに、そういう文化のなごりというか、雰囲気みたいなものは街路を歩いているだけでも伝わってくる。あるいは室町という地名に惑わされているだけなのか。そういえば日本人は室町文化の子孫だと、だれか偉い外国の学者が言っていたような気がする。

 お茶にお花に、畳に床の間に、そして行儀作法のようなものも、こういった日本人の暮らしの文化はみんな室町時代の産物なのだと。言われてみればそうかもしれないと納得する。室町時代がどういう時代だったのか、ほとんど知ってはいないのだが。