やはりパワーには勝てないのか

 橋本真也スコット・ノートンの対決を動画で見ていたが、あの橋本の体格とパワーをしても、真っ向勝負ではほとんど勝負にならない。それでも当時日本人でノートンとまともに対決できたのは橋本だけだったろうし、ノートンのパワーは巨漢ぞろいの外人レスラーたちの中でも群を抜いていた。

 橋本真也は40歳の若さで2005年に亡くなっているから、この試合はそれ以前のものだ。当時テレビの放映で見ていたものを、スマホに流れてきた動画でつい見てしまった。その時は橋本もまあ何とか対抗できているように見えたが、こうして見返してみると、実際はかなり苦しい試合だったなと感じる。

 スペックでは、橋本が183㎝で140㎏。対してノートンは190㎝で160㎏。ともに身長は3~4㎝ほどサバ読みしているようだが、数字だけでもノートンが圧倒しているのは確かだ。それでも橋本の強烈な蹴りや張り手が、まるで岩盤に跳ね返るようにノートンの分厚い胸板にはじき返されているのを見ると、何か期待を裏切られたような、絶望的な気分になる。

 実際に、ものすごく力の強い相手に対しては、かなりの技量があったとしても、技は無力となるものらしい。例えばブロンズの像の腕を生身の人間が曲げようとしたところで、曲がるはずはないのだ。蹴ったところで同様だ。

 そういう相手と対峙した場合に、武器などを使わずに、果たして攻略できる手段はあるのだろうか。プロレスの場合は反則が認められているから、何とか試合が成り立つが、やはりそういう相手とは真っ向勝負を避けるということ以外にないのかもしれない。