やはり暖冬か

 まだ2月だというのに4月の陽気だと報道は伝える。やはり暖冬かと複雑な気分だ。外仕事をする身としては、寒さが少ない方が楽だが、冬の厳しさがないとどこか物足りない気もする。夏が記録を更新するような暑さだったせいで余計にそう思うのかもしれない。

 やはり地球の温暖化が進んでいるのだろうか。これについては、温暖化が進んでいるという人もいれば、いや寒冷期に向かっているという人もいて、どちらが本当なのかよくわからない。大きなサイクルでは地球は小氷河期に向かっているのかもしれないが、体感的には暑さ対策の方が深刻だったように思う。

 冬の寒さの程度については、九州の北部と東京ではほとんど変わらない。雪の降り方もよく似ている。だが降雪の量は明らかに少なくなった。

 自分が子供だったころは、といっても40~50年前になるが、九州北部の地元にもひと冬に数回は雪が積もって、堀や池には厚く氷が張っていた。その氷の上を歩くことさえできたくらいだ。

 ある時、田んぼの脇の大きな池に氷が張って、近所の小学生仲間と数人で滑って遊んでいたことがあった。だが氷は見かけほど厚くはなかったらしく、調子に乗って飛びはねていると、突然自分の足元の氷が割れて、そのままズボッと濁った水の中に沈んでいったことがある。

 その時の驚きと恐怖は今でも忘れがたい。大慌てで水面に顔を出して氷の上に這い上がろうとするが、手をかける氷が次々と割れていく、必死の犬かき泳ぎで何とか岸にたどり着いたが、あんな寒中水泳は二度とやりたくないと思う。

 幸い、水中に落ちたのは、その時一番年長だった自分だけで、身の軽い弟やその他の子どもたちはさっさと氷の上から逃げ去っていた。今思えば危ない遊びをしていたものだ。

 今はもう、そんな遊びをすることもないだろう。池は整備されてしまったし、氷が厚く張ることもなくなった。それ以前に、地元に帰省しても子どもたちの姿自体を見ることがない。